オモウトコロ

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Koshi Inaba LIVE 2023 ~en3.5~@横浜アリーナ(2023.2.1)

レポじゃないですぅ感想ですぅ
ナタリーもBARKSも上げているのでセトリとかMCとか曲の流れはそっちがいいぜ!

スタンド最上段、いわゆる♪天井裏から愛を込めて〜席でした。
ただ、円形ステージの「恩恵」で、遠さを想像よりは感じなかった。見下ろす客席は白と緑で彩られていて(※グッズの色)、なんだかポップで可愛らしい。
開演前BGMは薄めの音量でほぼ分からずでしたが、直前はStoneTemplePilotsのWonderful。ああ、そうか。源流はそうよね。

正直、私はその曲がストテンだということはSoundHound(流れている音から曲名がわかるアプリ)使わないとわからなかったほど、オルタナというジャンルをほぼ通ってないので、近年の曲調よりはマグマの頃のような無茶苦茶な衝動が垣間見えたり、いっそストレートなポップっぷりがある曲の方が好きだったりするのですが、セトリはそんな「整列」させるのが難しそうな稲ソロ楽曲をキレイにまとめ上げた構成だったと思う。アルバム単位でもないので、もっと正直乱雑な印象になると思ってた。

また、急ごしらえのバンドとなると、どうしてもグルーヴ感がアレだったりすることがあるので構えていたら、Dr.鈴木JEN英哉さんがバッキバキに場を制圧していた。
後半の曲で(「波」のアウトロだったかな)、原曲や場の流れからすると少しばかり走るような場面があったのだけれど、そこがもう「エモさによる加速」って感じで、さらに他のパートもそこに合わせにいって渦巻く感じ、グッときた。「そこではこう叩いて欲しいな」みたいなのは余裕だったし、とにかくあのクセすごな曲たちを、さも昔から叩いていたかのように実に楽しげに操る様は壮観だった。
断られる前提でオファーしたという稲葉さんに「稲葉さんを断らないですよー!」と特大笑顔で返すところだったり、ドラムごと盆舞台で方向転換する時に、何故か両手を頭の上に乗せて「うさぎの耳」を形づくりながらおどけるJEN氏に、心を打たれないはずがない。初めてサポメンとしてMr.Children以外で叩いたとのこと、ありがてぇ…ありがてぇ…。
(あと、「ドラムが回る」がみんなの感想の全てにならないか心配する稲葉さんへ:トミー・リー形式の空中タテ回転じゃないのでそれは大丈夫です)
稲葉さんも稲葉さんで、「ハズムセカイ」のオーラスの「♪朝まで一緒にいてよ」は腕を伸ばしてJEN氏に向けていた。

稲葉さん曰く「一番遠いところからやってきてくれた」キーボードのサム・ポマンティさんは以前見た時よりもまた更に素晴らしかった。音色選びを確か以前も称賛した気がするけれど、ニュアンスも絶妙。なお、彼の日本語能力の上達によりほぼ日本語での会話で済んでいるとのこと。

なお、残念ながら弦のお二人に関しては、席の都合もあってか、中盤そこそこまで非常に聴き取りづらく、堪能できなかった。
実は稲ソロでは初めまして(!)な徳ちゃんがアップライトベースをボウで弾くってのは見た目も世界観としても正解を見た感じ。元々曲調としてはもっと狭くてアコースティックな会場でやった方が似合う曲が多いので、ウッドベースを望んでいたものだった。「BANTAM」前はソロタイムも。また、同じ動きをしがちな客席を、うまく煽っていた。
DURANさんは真逆の方向だったのもあって更に様子がわからなかったけれど、あの低音ゴリゴリの球をぶつけてくるようなプレイは、どうしても我々の脳裏に出てくる松本孝弘トーンと全く色の違うアプローチなので面白い。稲ソロの根底にながれるリズム感は、いわゆるロック畑の背景だけだと難しそうに見えるけれど、ブラックミュージックとかジャズフュージョンにも似た絶妙なタイム感がよく似合っている。

円形ステージの今度は「弊害」で、私の席はPA位置ではなかったことが影響したのか、中盤までは中音域がスッカスカの状態、バンドの音圧も音量もなく、稲葉さんのお声だけ聴こえるというアンバランスの極みだったので、自分の中でどれだけ盛り上がれるか、が見えなかったのですが…なんとかなりました。(なので、稲葉さんが異常なまでのリズムキーパーに見えていた。いやたぶん本当にその要素もあるんだろうけれど。)
ちょうど音響も良くなってきた頃、稲葉さんご本人の煽りによって、それまで拍手の鬼だった会場から少しずつ「…いい…んだよね…?声を…出しても…?」といった戸惑いを含んだコールアンドレスポンスが浸透して、もう戻ることができないとも思われた「あの頃のコンサート」に似た情景が広がった時からは、なんだかほっこりとした気分になって楽しめた。

私個人としては観客の声出し自体はライブに求めていない派(正確には、それによって起こる「お前の歌や声は聴きにきていない現象」などの弊害を恐れている)であって、完全に戻る必要もないと思う派なのですが、そうか、やっぱり舞台に立つ側は「欲しい」ものなんだ、と、くしゃっとした笑顔で感慨深そうに「声ってすごい」「本当にみなさんの声ってすごいんですよ!」「こんな日が来るなんて…」と客席を見渡しながら楽しそうにする稲葉さんを見て思ったのでした。(ただ、度を超えて「いなばさぁーん!」と叫んだ者はこの後もれなく駄席になる上に毎回自動改札機で残高不足になる呪いを天井から送った。)

大槻ケンヂがコロナ禍に「もうダメだ」と思ったエピソードとして「ロックバンド、特にボーカリストはダメージがあったと思うんですよ。ボーカルって、バンドの中で直接お客さんとやりとりする係でもあるんですね。(中略)コール&レスポンスでフィードバックしていくスタイルだったのに、それができなかったことで、もうダメだと思っちゃって。」(引用元:Yahooニュース「この世は終わりだと思っても、それでも人生は続く」大槻ケンヂが苦悩と向き合いながら音楽を続ける理由(Yahoo!ニュース オリジナル Voice))という発言をしていたのを読んでいたのもあって、コロナ禍においての「見せる側」の心境に少し触れたような気になってはいたものの、そうか、私らの「声」でそんなにも幸せそうにしてくれるんだ、と。意味のないタイミングでの名前呼びや、ボーカリストでもないのにボエーと歌う輩がいる限り、私個人は声出し肯定派にはならないだろうけれど、向こう側が求めてくるコールアンドレスポンスには、なるべく返して届けたほうが良さそうだと思い直した。

ともかく、少しずつ探り探りの雰囲気だった稲葉さんと私たちのやりとりが声を持って実現したことによって、暗く長いトンネルを抜けたかのように感じた瞬間だった。「あ、今が抜けるその瞬間なんだ」、みたいな。
広いはずの横アリが、ライブハウスかな?みたいな客席の一体感と、フェスかな?みたいな熱気に「ズオオオオオ」と飲み込まれていく様は圧巻だった。そういう意味でも、円形ステージでよかったのかもしれない。たぶんだけど横アリの中央から光の柱が天井を突き抜けて出ていったんじゃない?みたいな。ズオオオオオ。

はっと思い付いたように「LOVE!LOVE!LOVE!」と連呼したり、歓声に「トリハダ」と身を崩しとろけながら言う稲葉さんは終始楽しげ。いつもなら、そういった観客とのやりとりで大いに盛り上がっている中でも、「…はいっ!(終わり)」といった斬鉄剣ばりの切れ味で観客の拍手をぶった斬ってすぐに軌道修正しようとする稲葉さんだけれど、この日は鞘から刀を抜こうとはしなかった。実にぷわぷわしていた。そして久しぶりのぷわぷわを味わって高揚していたように見えた。

「2月のスケジュールが空いていたから」という理由で急に決定したということで、本数もタイミングも「中途半端な」3.5というタイトルになったとのことだったけれど、空いててよかった。空いていなかったら、ぷわぷわの幸せを味わえないところだった。
オーラスの「Oh My Love」で多幸感たっぷりのところに、普通なら御礼を述べて去るところを、円形ステージだもんで四方にバンドがトコトコと動いてお辞儀しまくる流れだったのも愛らしくて楽しげな、「稲葉浩志の笑顔を見守ってこちらも楽しくなるen会」だった。
(ただ規制退場守らず民多すぎだったのは、ど平日夜の開催だったとはいえ、実にケチのつく最後だった。気を遣ってアンコール前で抜けてった人に幸あらんことを。)

私は私で、これまでなるべく控えていたB友さんたちとの逢瀬を、誰ともなしに当日になってできたことが本当に嬉しくて、楽しくて堪らなかった。今年はもっとぷわぷわしていこう。

おまけ:曲ごとのメモ
・「羽」あんなにEDM感あるバックトラックだったっけと思いながら。しかもやたら音量デカくて笑った。

・「静かな雨」の上部ビジョンとライティングで樹木に雨だれが落ちてくるような演出は異次元感みがあって好きちゃん。始まる前のMCで「外は雨降ってるでしょ?」と曲フリ。
ただ、こちら側は曲フリだと気がつかず「まさか…外は晴れてたぞ…でもこの稲葉雨命(イナバノアメノミコト)がそうおっしゃるなら降ってるな…」といったように思ってしまった。逆雨ハラ。

・「Okey」で客席から「オーケー」の声を煽るという歌詞の世界観からするとある種の恐怖を覚えた(全然「オーケーィ!」じゃあねぇなと思いながらのコールアンドレスポンス)。

・「波」「Little Flower」の流れはできれば真正面で観たかった。稲葉劇場感すごかっただろうな。